GLAY『UNITY ROOTS & FAMILY』の良さは25歳過ぎて初めて分かる

学生生活を卒業し社会に出て、初めて親の苦労が分かる。よく聞きますね。今まで仕事ばっかりであんまり家にいないお父さんを
、ずるずると反抗期を引きずって「なんか鬱陶しい」と思っていたけど、「お父さんってすごい」って思うようになる日はいつか
必ず来るものです。お父さんに限らずそれはお母さんに向けても同じことですが。
それらの感情を持つのは、大体20代中盤に差し掛かった辺りではないでしょうか。やっと仕事にも慣れてきて社会の荒波に揉まれて、
そんな中で愛する人を見つけて結婚して…ということを考え始める年頃です。
人生の岐路とも言える歳に聞くと心に沁みる一曲があります。

GLAY『Father & Son』です。
これは2002年に発売された『UNITY ROOTS & FAMILY』というアルバムに収録された曲です。アルバムそのものもGLAYが今まで発売してきた中では
かなりの異色作とされています。
GLAYのアルバムというよりは、リーダーTAKUROの人生観や思いを詰め込んだものでそれをGLAYが表現するといった感じのものです。
収録された曲はキャッチーさで人気を博してきたGLAYからは想像も出来ないような哲学的な歌詞が多かったため、当時の若いファンからはあまり好評とは
言えませんでした。しかし、年月を経るにつれてじわじわと人気になっていき、今では「25過ぎて初めて良さが分かるアルバム」とさえ言われるようになりました。
スルメのような噛めば噛むほど良さが分かるアルバムです。

そのアルバムの中で最も涙を誘うのがこの『Father & Son』です。タイトルの通り、父親について書かれた曲です。作詞作曲はTAKUROです。
実はこの曲はTAKUROが幼い頃に亡くなったお父さんへの思いが書かれた曲なんです。彼自身父親についての記憶がどれほどあるか、この歌詞を書いた当時がいくつだったのかは不明ですが、もしかしたらお父さんが亡くなった年齢と同い年だったりしたのかもしれません。

さて、この曲の何が秀逸なのかと言ったら勿論歌詞の内容です。全体的に心に沁みるのですが、ある一部分だけでもじわっと涙で目が滲みます。
「この頃親の苦労が 少しわかる気がして、真面目さが取り柄だった父の姿勢に似て」という一節。

毎日毎日会社に行って、理不尽な上司に怒られて、夜は遅くに帰ってきて取り敢えず眠って…そうやって貰える僅かな給料。金を稼ぐという事は、働くという事は
なんて難しくて大変なんだろうと思った時に、この歌詞を見ると父を思い出します。
「家族のために文句の一つも言わずに、朴訥と真面目に働いていた父はどれだけの苦労をしてきたのだろう」とようやく父の偉大さを理解できます。
ここに「25歳を過ぎて初めて良さが分かる」という事の意味がご理解頂けると思います。
またTERUの優しく柔らかい、語り掛けるような歌声がさらに感情を高ぶらせてきますので、聴く時は一人で聴く事をおすすめします。
こういった曲は他のバンドにはない、GLAYらしいものでしょう。ロックバンドでありながらも純朴で優しい人生観が詰まっています。

GLAY入門編にはおすすめしないアルバムですが、曲単品としては『Father & Son』はおすすめです。
聴いた後、お父さんにありがとうと言いたくなるかもしれません。